『方法序説』は、一人の哲学者が多年の研究や思索の後に到達した思考方法の総決算ともいえる作品であり、難問題を解決するためにその一つ一つをできるだけ細かな部分に分割し、簡単なものから複雑なものへと進み、何一つ見逃さないように列挙し、再検討するという思考方法の原則を打ち立てました。「我思う故に我在り」・・自我の解放、抑えられていた感情・官能の復位、自分の心に宿る様々な複雑で激しい感情、過度な内心吐露、理想と絶対を追求し続けたモラリストの異常なまでに内省的な自己分析が心を強く打つ。瞑想に耽ったときの感覚や感情、魂の底から湧き上がる囁きや叫びを表現する。俺の枠の中でも戦争が起こっている、調和と秩序と混沌の世界である。人間と世界のあらゆる地平線が拡大していく。モリエールのつくりだした人物の中で、偽善者のタルチュフ、放蕩者の貴族ドン・ジュアン、潔癖な正義漢で人間嫌いのアルセスト、守銭奴のアルパゴンなどは特に有名で今日ではこれらの名前はほとんど普通名詞としても通用しているくらいです。このように強い個性をもつと同時に不朽の生命を備えた永遠の人間像を創造した。放浪の青年時代、情熱の是認と高揚、美しい自然感情と抒情とをもって雄弁に描き出した。また新しい局面を開いた。文体は人間そのものである。文章を読めばその人が分かる。
