彼らは人生を理解し、その悪を赦すだけで精一杯なのだ。大人というものに成りきり、蛹から成虫への苦しい過程を辿り終えてしまうまでは、夢と芸術のなかに潜んでいるものなのだから。群集心理に対する軽蔑的な反動から彼らは、一種の知的で芸術的な自我中心主義、観念的な感覚主義に引っ込み、追い立てられた自我が自己の権利を要求していた。彼は自分だけで満足できるには優しすぎた。彼は世界の苦しみを苦しんでいた。そして、その苦悩の総和を彼は過大に考え、それに押しつぶされていた。今度は輝きは内部から来ていた。すべてが調和していた。思い出と生々しい思いとが調和し、部屋の中の色々の品物、書物、書類までが生気を帯び、失っていた面白さを取り戻していた。
