「はじめに」組織・臓器は破壊と再生を繰り返しながら, その機能と形態を維持する. 破壊の原因は, 外傷, 炎症, 変性などさまざまである. 一方, 再生の主役は幹細胞である. ところが, 加齢によって幹細胞が減少ないし再生力が低下すると, 組織は劣化し臓器の機能不全が生じる. こうした病態が個体全体に及んだ状態を老化ととらえることができる. この場合の最良の治療手段は幹細胞を補充することであり, これこそ再生医療の基本戦略である. 従来, 老年病に対しては, 主として薬剤を用いて残存する幹細胞を活性化させる方法がとられた. いわば老化に対する保存療法である. これに対して再生医療では, 積極的な幹細胞補充を行う. 再生医療が究極のアンチエイジング医療とよばれる所以である. たとえば, 老化現象の典型ともいうべき歯の脱落は, 多くの場合, 歯周組織の破壊がその原因である. 歯周組織は慢性的な感染リスクにさらされており, つねに組織の破壊圧力が加わっている. 一方, 歯周組織を構成するセメント質, 歯根膜, 歯槽骨は骨髄由来の間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell：MSC)から分化する. MSCは老化によって急激に減少(65歳では新生児の400分の1)し, 組織の再生圧力が低下する. その結果, 歯周組織がしだいに失われ歯が脱落するのである. そこで歯周組織を再生させるために, MSCを破壊された歯周組織に補充すると, 従来では治療不能と考えられていた重症例ですら歯周組織の再生がふたたびみられる. 幹細胞移植によるアンチエインジング医療の成功例のひとつといえよう. 本特集では再生医療がアンチエイジング医療にいかにして貢献しうるかを総論的に把握し, その後に組織・臓器別の再生医療の可能性を紹介する. 毛髪, 皮膚, 運動器, 網膜はもっともポピュラーな老化現象であり, 老人のQOLの低下に直結する. 一方, 心臓, 脳の老化は日本人の死因のベスト2, 3位を占める重要疾患である. それぞれの臓器のアンチエイジング医療について各分野の第1級研究者に, 貴重な研究データをご提示いただいた. ここにあらためて執筆者諸氏にお礼申し上げたい. 
