ディック・ファインマンの宇宙像の本質は、あらゆる束縛をゆるめることであった。正当の物理学では、ある電子がある時刻にこの状態にあるとし、その場合その電子が次の時刻にどう振る舞うかを、ある微分方程式を解くことによって計算し、その解から電子が後の時刻に何をしているかを計算する。ディックは単に電子は何でも好きなことをするのだとした。電子は時空間全体にわたってあらゆる可能な仕方で行動する。電子は自ら選ぶなら時間を逆行することさえ出来る。一つの電子がある時刻にある状態にあるとした場合、それが別のある時刻に、ある他の状態になるか否か〔その状態にある確率〕を知りたいと望むなら、その電子が最初の状態からその状態へ移行するあらゆる可能な経歴からの寄与〔移行確率〕を加え合わせればいい。その電子の経歴とは時空間のあらゆる可能な経路からなり、時空間にそってジグザグに未来や過去に進む経路をも含む。同じ奇策は変更を加えれば他のあらゆるものに適用する。規則が複雑になる。物事の変転を知るための経歴加算法は他の色々な深く独創的な考えと同様に物理学の体系の中へ徐々に取り入れられていった。統一的世界像に到達するために闘い抜いた知的奮闘の終幕だ。ケインズがニュートンについて語った言葉・・彼の特異な天分は純粋に精神的な問題を自分でそれを真っ直ぐに見抜けるまで考え続けさせた能力、彼の卓越さは直観力が強くて持続的なものであったことによる。ディックは世界を時空の中の世界線で織られた織物と見る素晴らしい世界像を持っていた。あらゆる物体が自由に運動するとし、それらの種々の可能な経歴を全部加え合わせると結局は実際に起こったことが記述されるというものであった。普遍的に成り立つ筈の世界像の本質、自然界に起こるあらゆることを記述する。あらゆることを説明できる統一化理論。現在のところ、自然は便宜上いくつかの別個な領域に分離され一度に一つの領域を理解する。理論とは自然の詳細で精密な記述、互いに異なる領域に属する理論は互いに異なる概念を用いて世界を別々の角度から照らし出す。今のところ我々は、物理学の世界を三つの主要領域に分けて見ている。第一は非常に大きく重い物体、惑星、恒星、銀河系、一個の全体としての宇宙、この領域では重力が支配的な力であり、そこではアインシュタインの一般相対性理論がうまく当てはまる。第二は非常に小さく寿命の短い粒子の領域、高エネルギーの衝突や原子核の内部で見られる。この領域では強い核力が支配的である。非常に大きなものと小さなものとの間に第三の領域、物理学の中間地帯、非常に広大な領域であり原子核と惑星との中間の大きさのあらゆるものを含む。人間の日常経験の領域、原子や電気や光や音や気体液体個体や椅子や机や人体などが含まれる。量子電気力学とは中間地帯の理論、第三領域におけるすべての物理学的過程を完全かつ正確に説明する。ディックは物理学の全体を理解し、宇宙のあらゆるものに当てはめられる柔軟性をもった普遍的原理を探し求めていた。互いに全く正反対と思われた見方が後にもっと広い視野から見て共に正しいと判明することは、科学の特殊な美の一つである。今までの何もかも全部が明快に調和し始めた。極論すれば物理は紙とペンで頭の中で出来る、化学は金が機器が必要だ。フラット化する世界だからこそ俺の枠のものだ。旧ソ連ロシアの偏執狂的（パラノイア）発想、米ロ関係の本質は冷戦終結以降も同じ、両国間にある敵対意識は地政学上の宿敵同士という発想だ。ロシア人は自国が超大国と世界の主導権を争っている時だけ良い気分になれるようだ。プーチン大統領は、ソビエト連邦の崩壊を「２０世紀最大の地勢学的惨事」だと考えている。フルシチョフの孫が米国籍取得した時は大きいと思ったが、結局ロシアとアメリカはどうやっても仲悪いのか。ロシア政府のエリートたちは米ロ関係の悪化に努めている。ロシアは世界一長い国境を挟み一部で国境紛争を抱える中国に対して爆撃機や潜水艦、空母といったハイテク兵器を売る。イランの核開発の後押し、民間原子炉を建設し、イラン人が核反応の知識を蓄える手助けをする一方、イランの核兵器開発に圧力をかける国連安全保障理事会への支持を渋る。旧ソ連共産圏崩壊によりロシア指導者層が受けた心の傷は深く強烈なコンプレックスが生まれている。彼らにとって米国と西側諸国はいまだに究極の敵なのだ。独裁者、独裁権力とは古今東西にわたる人間の憧れの一つであり同時に恐怖でもあった。絶対的な権力を揮って、ある国を支配した。
