最初から私の気に入ったのは、この男の顔でした。
あの異様な表情にもかかわらず、独特な悲しそうでもある顔でしたが、緊張した極めて思想の豊かな勉強しぬいた精神化された顔でした。彼はあくまで、一目見た時すぐに優れた珍しい並外れた天分のある人間だという印象を与えた。顔は精神にみちており、表情の異常に繊細敏感な動きは、興味深い極度に動揺した非常に繊細で感受性の強い心の生活を反映していた。世間並みの限界を越え、持ち前の異常さから個性的な独特な言葉を吐く。真に精神的な人だけが持ちうる、どっしりした思索の跡と知識とを持っていた。何らかの形で精神か情操か性格が病んでいる。天才的な無際限恐ろしい苦悩の能力を養ったことを知った。自己軽蔑が彼の厭世観の基礎であることを知った。自分自身に対し気高いものに彼は終生天才的な空想や強い思考能力を残らず振り向けた。
