シンガポール政財界の指導者たちと会談した。アジアの多くの新興市場が五年目の好況に入る中、強気な声が多かったのは当然だろう。一方で伝染病や北朝鮮の核問題などリスク要因の話も出た。中国とインドの台頭については意見が分かれ、両国の発展が齎す新たな活力への期待もあれば、資本や貿易、技術の独占を狙っているとの懸念もあった。今日の世界経済（特にアジア経済）の最大のリスクは、アメリカがグローバル市場でリーダーシップを放棄する可能性があること、それが私(エール大学院教授)の持論だ。例えばアジアの繁栄は輸出を促す開かれた世界経済を基盤に成り立っている。こうした環境が出来たのは、アメリカが市場を開放すると共に、ルールに基づく国際貿易体制づくりを進めたおかげである。後者はＷＴＯ（世界貿易機関）設立に繋がった。資本、技術、経営の世界的な市場統合でも同じことがいえる。国際経済の繁栄にはワシントンで練り上げた政策が必要だった。アメリカはＷＴＯの新多角的通商交渉（ドーハラウンド）よりもグローバル市場を分断する２国間交渉にシフトし、安全保障と対外投資を結び付けている。９・１１テロ後の政策としては理解できるが、アメリカが堅持してきた自由な投資の促進に逆行する恐れがある。何よりも懸念されるのは、グローバル経済を受け入れるための基盤となる、医療、社会保障、職業訓練といった国内政策が軽視されていること、更にイラクで泥沼に嵌り多くの人命と莫大な金を犠牲にしている、このままではアメリカはグローバル経済を支える義務感を捨てて自己完結型の大国になる恐れがある。グローバル経済の課題は多岐に渡る。資源ナショナリズムへの対抗、貧困の撲滅、１４０兆ドルに及ぶ巨大な国際資本市場を規制するための新たな法制度・・アメリカの役割を引き継ぐのは難しい。ＥＵ（欧州連合）は27カ国統合の地固めをするために、あと数十年は内向きの時代を過ごすだろう。日本は常に他国に追従している。中国は社会秩序の安定と資源の確保に追われているし、そもそも法制度を尊重する実績に乏しい。アメリカが抜けた後のリーダー不在をこれまで以上に大きな脅威と感じる。フランスの大統領は特別な権限を与えられている。議会への配慮が必要な米大統領や毎週下院で党首討論を行う英首相とは異なり、フランス大統領はエリゼ宮に陣取り超然とした立場から国民を指導する。フランスは北朝鮮を除けば世界で最も中央集権的な統治機構をもつ国だ。この特殊な体制の下、大統領は自らの判断で開戦を決定し法律を公布する。「朕は国家なり」とは太陽王ルイ14世の言葉だが、この台詞はシャルル・ドゴールやフランソワ・ミッテランといった歴代の大統領によって新たな生命を吹き込まれた。歴史的危機のなか、新世代の指導者は嘗てのドゴールのように古い体制のくびきを断ち切り新しいフランスの建設を進められるのか。大胆な改革が必要だ。シンガポールはグローバル化の波を最大限に利用した国といわれる。この10年間に外国から積極的に投資と人材を受け入れ法人税を大幅に下げ、バイオ、製薬、金融サービスといった重要産業の育成を奨励。諸外国と自由貿易協定を結んできた。過去３年間のＧＤＰ（国内総生産）成長率は平均７・６％、先進国としては驚異的伸び率、雇用創出率も高い。賢明かつ透明性の高い統治で知られるこの国でさえグローバル化の齎す富の大半が金持ちと多国籍企業に集中してしまう。政府が自国経済の国際競争力を伸ばすため企業のコスト削減を促した結果、人件費は大幅にカットされた。個人消費不足が景気拡大の足を引っ張っている。それで痛手を負うのはシンガポール経済の中で存在感が大きい小売業界だ。金融や貿易のグローバル化がますます進展する中で、国際通貨の番人である国際通貨基金（ＩＭＦ）の重責が高まっている。過去四年間にわたって世界経済は非常に力強い実績を示してきた。この勢いは今後も続き０７年に米国経済が減速したとしても世界経済の見通しは明るいと予想している。ヨーロッパで過去数年を上回る力強い成長が見込めることから成長の基盤は更に広がるといえる。現在の国際金融の状況は各国の政府、そして家計と企業を合わせた民間部門にとって極めて良好です。０７年も成長を続ける。製造部門や金融部門で改革が実行された。日本が進んでいる方向は正しい。日本はこの成功を基にして更に前進を続けてほしい。個人消費を増やすためには金融部門の役割が極めて重要です。金融部門に競争力があれば投資機会を迅速に消費者の利益に転換することができる。世界経済のリスク要因は？短期的には原油価格、インフレ懸念、米国の景気減速などがリスク、より構造的な問題としては、グローバル化の進展が各国のマクロ経済政策の性格に変化を齎している。特に金融のグローバル化は極めて大きなチャンスを提供するという意味で良いこと、同時にリスクの性質も変化させた。金融のグローバル化によって好況と不況の変化のブレが大きくなる。チャンスとリスクの見極めという点において各国の金融政策はこれまで以上に骨の折れる仕事になった。世界はどの程度まで市場開放を続けるのか、市場開放が更に進めば新興国や低所得国にとって成長と貧困撲滅の新たなチャンスが生まれる。貿易が拡大した中国とインド。政府が資源を効率的に配分するための障害を取り除く。リスクの値段が安い、今日の成長の大部分はリスクが安かったことによる。ＩＭＦはマクロ経済の安定と金融面での安定を国際社会と１８５の加盟国に提供する。それを実行する方法がこれまでと全く異なってくる。必要な事態に対応するため、常に世界各国を対象に深い分析と監督を行っている。例えば鳥インフルエンザ、世界各国が潜在的な流行病にどの程度の備えをしているか、財政面、そして金融市場への影響を調査した。アジアの金融危機から多くのことを学んだ。アジアの金融危機を契機に、世界は経常収支の危機の時代から資本収支の危機の時代へと移行した。資本収支の危機を回避するには金融部門の役割は非常に重要、ＩＭＦは従来からのマクロ経済に対する監督と金融市場に対する監督とを統合する必要性をより深く認識するようになった。金融のグローバル化は、資本収支の危機の性格を大きく変容させ金融部門と実体経済の関係は以前に増して深まった。危機に対する最大の防御は国家の健全なマクロ経済政策、マクロ経済的安定性は防御の第一線、地域間の調整は防御の第二線、防御の第三線は国際的協力、現在課題となっているのは三つの防御ラインを統合すること。金融改革と為替相場の柔軟性を向上させる。多くの場合この二つは相互に補完し合う。グローバル資本主義の中で利益を追求しながらナショナリズムを煽る、組織においてパターナリズムの上下関係を温存しながら個々の労働者に自己責任と競争原理を押し付ける。経団連はじめ経済団体には特定の業界の枠を超えた大所高所の理念を持ちバランスのとれた政策提言をしてもらいたい。ITの進化により他業界との融合が進み新しいサービスが提供され巨額の取引を生む市場が形成されている。目まぐるしく変化し成長するためチャンスもリスクも孕むIT市場。
